福岡高等裁判所 昭和28年(う)1900号 判決
論旨は公職選挙法第一四二条が選挙運動のために使用する文書、図画について制限をなしているのは、国民の基本的人権である思想、表現の自由を侵し、選挙の理念とする選挙運動の自由を奪い、民主主義国家の構成を阻害するものであつて違憲の法規であると主張するにある。しかし選挙運動は自由であることのほかに、適正且つ公平に行われることを以て理念とすることは言を俟たないところであつて、現下の我が国の諸事情のもとにおいて、選挙の適正、公平を期するために、前示第百四十二条が規定するように、文書、図画の使用について制限を設けたことにより或る程度表現の自由の制限をもたらす結果となつたことは、選挙の適正、公平という公共の福祉のためになされた止むを得ない制限と認むべきであるから、かかる制限規定を目して憲法に違反するものということはできず、右規定を適用して被告人を処断した原判決には何等違憲はない。論旨は理由がない。